2018年12月25日 20:48  

石原家の紋②

前回に引き続き、石原家の紋のおはなし。

丸に二つ引きの紋を私はあまり好きにはなれなかった。前の投稿にも書いたけれど、花や植物やものの形など具象的なものの門の方がいいのに、と思っていた。
紋は先祖から連綿と継がれてくるもので、好き嫌いの問題ではないのだが。

石原家は女系の家だった。母の代では確か、人ほどの子どもがすべて女性で、一人だけ嫁がなかった長姉の大伯母が結果的に石原家の家を継いだ形となった。
大伯母は独り身を貫き、子どももいなかったためか、早く亡くなった妹の娘ーそれが私の母なのだがーを実の娘のように大事にしてくれていたそうだ。
もう一人、嫁いだが子どものできなかった大伯母がおり、彼女も母を実の娘のように可愛がってくれた。

母が亡くなったあと遺品の整理をしていて、明らかに母のものではないかなり時代を感じさせる着物がいくつか出てきた。そのなかに黒留め袖があり、模様の入り方が昨今よく見るものとは違って、渋いながらも艶[あで]やかさがあった。
父が亡くなり、実家の整理をしていて、仕舞ってあったその黒留め袖が出てきた。もちろんのことだが、その黒留袖には紋がついていて、母に石原家の女紋についてはっきり確認したことがないのだけれど、これが石原家の女紋だと思われる。この着物が出てきた時、具象的な模様の紋を羨ましく思っていた私にはとても魅力的に映ったこともこの黒留め袖を取っておいた理由だったと思う。


石原家の紋②

これが大伯母の黒留め袖に染め抜いてあった紋。片喰[かたばみ]紋という。古来から人気があり、平安、鎌倉時代から文様としてはよく用いられていたが、戦国時代に紋として長宗我部氏や宇喜多氏などの戦国武将に愛用されはじめたようだ。


石原家の紋②

こちらが実際のかたばみ。片喰紋は葉をほとんどそのまま模したように見える。こちらのように黄色や、他にはピンクの可愛らしい花をつけるが、荒地や畑、道端に元気に群生する強い繁殖力がある。それもあって、子孫繁栄を願って紋様や紋として使われたと言われている。




Posted by 大辻織絵 │コメント(0)
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。
削除
石原家の紋②
    コメント(0)