2018年12月16日 13:47  

土間の修復②

土間の修復に入って十日程、覗きに行くと犬走りの施工が終わっていました。

土間の修復②

なんとピシッとしたことでしょう!

土間の修復②

時を経て、風雨に晒され踏まれてきた土間の陰影に富んだ味わいはまことに捨てがたいものがあります。
しかし、旧くなった土間は、原料が砂や土です。風化してくると風でもちょっと踏むだけでもたやすく取れ、箒で掃こうものならどんどんと剥がれていってしまいます。粒子がとても細かいのでかんたんに舞い上がってしまいます。

窓のことを前のブログで書きましたが、そんな造りの家ですので、掃除するそばから砂ぼこりが落ちてきます。女中さん下男さんみえたころは雑巾がけは常のことだったのでありましょう。だからこそ、材が途轍もなくつるつるになっていたりするということもあるのでしょうが。

その降り積もる粒子がどこから来るのかは厳密にはわかりませんが、家の中の土間、犬走り、井戸館などの古い土間で取れた土や砂なのだろうとはかねがね思っておりました。



犬走りは三和土風の施工を選択しました。全て、本三和土にすべきか相当迷いましたが、外側は風雨に晒されますので、現代の技術を利用することにしました。


この家をお預かりする身の我々の考え方としては、昔ながらの伝統的ありようを維持することもさることながら、人類が日々進化させてきている技術というものの恩恵を頂かない手はないと考えております。
一例として、3年前に行った主屋の瓦の葺替えにも瓦の下に防水材を使用していただきましたし、過去白蟻が食べたような壊れの部分には薬剤を使っていただいています。また、部分的に替える必要のある部材を古色仕上げにする場合も現代の塗料を使っています。


土間施工を考える際、土間を三和土風施工にすると歴史的建築としての価値が下がるとの意見をいただきました。私自身も、長年親しんできた本三和土の土間の雰囲気はなかなか手放しがたいものがあります。

バランスを考え、中は本三和土、外は三和土風としました。


土間の修復②

中の土間のハツリがはじまりました。
竈がありますので、竈も新品仕上げになります。
どのような雰囲気になるでしょう。

健康寿命という言葉が一般的になったいま、我々が自分の体をメンテナンスするのと同じく、建物もそうしてあげることは健康寿命を高める秘訣なのでしょうね。

土間の修復②

土間の修復②




Posted by 大辻織絵 │コメント(0)
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